従業員の介護休業取得は企業にとって企業価値向上の投資です

 日本は、多くの中小零細企業が産業を支えている素晴らしい国です。なので、独創性が花開き、信用がそこに蓄積され、文化が発展します。

 しかし、従業員の親御様に介護が必要となると、従業員は介護に注力せざるを得ず、企業体力が削がれます。この課題に対する対処方法は無いように思われます。

 しかし、実は違います。

 非常にやりがいのあるチャレンジがそこにあります。お伝えしましょう。

もくじ

一切、妥協しない車作り・レクサスLFA

 最先端のエンジニアリングで開発・商品化の責任を担ったことがある人なら判りますが、他の追随を許さない世界ナンバーワンのプロダクツを実現するのは、覚悟が要ります。

 逆に言えば、そのチャンスに恵まれたエンジニアは、その才能は一気に花開き、その開発プロセスより得た知見の数々は企業の強靭さを育みます。

 いまでこそ高級ブランドの地位を確立したレクサスですが、その「高級ブランド」は最初から育まれていたわけではありません。

 ネットで調べればすぐに誰でもわかるので、一度、レクサスLFAの開発秘話をまずはご自身で紐解いてみてください。

 あの一切の妥協のないスーパーカー作りがあったからこそ、レクサスが提供する「高級」が確立された歴史とカルチャーが判ります。

 レクサスLFAは、台数限定でした。

 売っても赤字です。

 しかし、なぜ、その開発に着手できたかと言えば、レクサスLFAの商品化を通じて、今日のレクサスの「高級」を支える人、技術、企業文化への投資という視点があったのです。

 つまり、企業の近未来を見据えていた決断がそこにあったのです。

 実は、この視点こそ、中小零細企業において、従業員の親御様が介護が必要になった場合に、非常に活きてきます。

 というのも、従業員が介護休業を取得するのは、企業にしてみれば、それは企業価値を向上する投資なのです。

優秀な従業員ほど介護離職を選択する

 親御様が介護が必要となった従業員の置かれる状況は、一人ひとり異なります。

 その違いについて言及するのも大事なのですが、ここで話を展開しても発散するのでやめておくとして、企業からみて、年老いた親御様の介護をなんとかしなくては、と思う従業員の根底にある価値は共通しています。

 例えば、優秀な従業員ほど、親御様の介護が必要となれば、介護離職を選択できます。

 当然です。

 優秀なので、介護の大変さに不満を募らせません。

 優秀なので、親御様を介護する価値が判っているのです。

 優秀なので、介護が終わっても、その後の未来の切り拓き方を知っています。

 優秀なので、介護で得た知見を人生に活かします。

 優秀なので、自分の親を助けられる人ですから、他者を助けるのにも躊躇はありません。

 さて、このような従業員を介護離職させるのが企業にとって、有利なのか、不利なのか。

 いわずもがなのはずです。

 逆にいえば、中小零細企業こそ、このような従業員に介護離職されては、大損失なはずです。

 ですから、従業員の親御様に介護が必要になりそうという段階から、企業はその支援をスタートするのが、企業価値向上、売上向上につながります。

 ところが、今現在、従業員は会社に迷惑がかかるからと介護休業すら申請できず、企業も介護休業したいと従業員から申し出られれば、嫌な顔しかしないところが多いはずです。

仕事の介護の両立による無形資産のフィードバック

 未だに多くの企業、そしてそこで働く従業員にとって、年老いた親の介護から得られる価値が全く判っていないのが、そもそもの課題です。

 例えば、年老いた親の介護は、従業員にとって誰にとっても生じるイベントです。

 ところが、そのイベントを支援するための企業文化なんて持ち合わせていない企業が多いのが実情です。

 現在に至っては、人材なんて足りなくなれば外国人を雇えばいい、という風潮です。

 人間は、誰でも人間であって、都合の良いピースや部品ではないのです。

 お互いがお互いに助け合い、支え合って企業は発展してきた文化と歴史が日本にはキチンとあります。

 その精神性を拡張するのが、従業員が直面する親の介護に対する企業の支援です。

 上述に、優秀な従業員の例を挙げました。

 もし、自分の親が助けを求めている時に、その親を見捨てるような選択をする従業員が居たとすれば、それは貴社の発展に寄与するのか、否か。

 ここを考えてみてください。

 中小零細企業では、従業員が親の介護に直面したとき、「困る」と感じるケースが多いように見受けます。

 私の三度目となる岳母の介護では、家内に介護休業を取得してもらいました。家内の勤めていた会社では、初めてのケースです。中小零細企業なので、最初はトップも戸惑いがありました。

 しかしながら、結果としてその企業にとって介護休業取得の対応力がついたわけですが、それをどのように実現していったのか。

 次の記事では、それを解き明かせたら、と思っています。

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