介護で追い詰められる子の心の解放

 少子の時代を迎え、高齢者二人以下住まいが増えるという極端な核家族化が進んでしまったおかげで、「大人の介護教育」が必要な時代となりました。なってしまった、と書いた方が良いのかもしれません。

 かつての日本人の庶民の暮らしは、助け合いが基本でした。他人でも、体調がすぐれなければ近所の人が気にかけてくれるほどです。今となっては、それは煩わしさの象徴ですね。生活の利便性が向上し、助け合う必要性も薄れ、マンションにおいては隣に誰が住んでいるのかさえ判らない時代です。

 伝統的に家庭内で在宅介護の大切さが醸成され、代々につながるカルチャーとして、親を介護する習慣が消滅に向かうのであれば、長寿社会は暗黒でしかありません。

もくじ

親の介護は迷惑?

 テレビ等々のニュースで、現在の戦後生まれにカテゴライズされる60代、70代のぐらいの方々が介護に関するインタビューよく聞くコメントがあります。

 「自分の介護で子供に迷惑はかけられない・・・」

 ハッキリ申し上げて、このような≪ マヌケ ≫なコメントを宣うシーンを頻回に見かけます。

 では、そのように思っていらっしゃる傲慢な貴方にお聞きます。

  • 子供に介護をやらせるのは、迷惑行為なのですか?
  • 子供に迷惑をかけられないのなら、低賃金で働かされている介護職には迷惑をかけるのですか?

 何をカッコつけているのでしょうか。それが傲慢さだ、と判らないから困ったものです。

 年齢を重ねれば助けが必要にある時は、多々生じます。それは当然のことなのですが、その理解がゼロに等しいこのような大人モドキを観ると、虫唾が走ります。

 逆に言えば、このような大人モドキがはびこるから、長寿社会は暗黒化します。

 もし、あなたが今以上に年をとって、介護をやらせる行為が子供にとって本当に迷惑になると考えているなら、子供はどのように育つと思っているのですか?

 介護する子が年老いた親御様を殺害する痛ましい事件が後を絶ちませんが、その根本原因は、介護が子にとって迷惑でしかない、そのような思考に陥っているからなのです。

 親の介護は迷惑行為にも関わらず、その迷惑行為を子に強いるのですよね!?

 だから、介護する子の心は追い詰められます。

 まず改めるべきは、大人モドキの心の在り方なのです。

長寿社会の親子のあり方

 かつて、平均寿命が60代、70代だった頃、祖父母は惜しまれてこの世を去り、葬儀の参列者も長蛇の列でした。

 しかし今となっては、葬儀をせずに、亡くなったら直葬で火葬で終わり。

 親子間でさえも、その関係性は希薄化しており、葬儀においてもそれは顕著です。

 しかし、それで良いのです。

 なぜなら、長寿化は、親子の縁を徐々に清算していく時間です。

 徐々に清算するとは、どういうことか?

 それが、≪ 感謝して別れる。 ≫

 別れるために、精一杯の感謝を態度で示す。

 そのための行為と時間、それが親子にとっての在宅介護だ、という認識に親子で立脚するのが在宅介護が始まる前にしっかりと構築すべき心構えです。

 もっと言えば、長寿社会では、親子の縁を感謝で徐々に清算するために在宅介護の機会が訪れます。

 だから、葬儀は質素で、それこそ介護した子がひとりでキチンと親を見送るだけで超十分なのです。

 在宅介護を通じた時間を通して、十二分に感謝を態度で示して、お別れをしているのですから。

その人とは二度と会えません

 もし、親でも、恋人でも、子供でも、明日に会えなくなると判っているなら、今日をどう過ごしますか?

 この意識で毎日を生きてみて欲しいのです。

 今日、大切な人に会ったとしても、すでに昨日に会ったその大切な人には二度と会えません。

 そして、昨日に会った大切な人と、今日、再び会える保証はどこにもありません。

 父親にしても、母親にしてもそうです。

 産まれた時から当然のようにそこに居た存在ですが、居なくなる時間を過ごさなくてはいけなくなる時が必ずきます。

 だから、「今」が大切だと判るのです。

 もっと言えば、過去は記憶という名の屍でしかなく、未来は期待という名の幻想でしかありません。

 長寿社会となったこの日本では、存在は「今」しかないという感覚で生きなければ、年老いた親御様の介護は苦痛でしかありません。

 なぜなら、親からは介護は迷惑でしかないと教えられ、実際に苦痛そのものの介護から逃れられれば、その先は「楽」という期待に満ち溢れた未来が待っているのですよね!?

 だから、在宅介護の呪縛から逃げ出そうと、年老いた親御様を殺害する事件が後を絶たないのです。

 実母、そして岳父と岳母。3人の親を介護して見送ってきました。どの親に対してもそうですが、寿命を迎えて最期を見送ったときの想いは共通していました。「もっと介護をやらせてほしかった・・・。」どの親もそうですが、感謝してもしたりない存在でした。

 「明日になったらあれも聞いておこう!」と思っていたのに、今日のうちに息をひきとってしまう事態に直面するのが在宅介護です。

 必ず亡くなるときを迎える親を殺害して何の意味があるのでしょうか。

 よく介護で先が見えないというフレーズも耳にしますが、大間違いです。在宅介護は、親御様の寿命で終わります。

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