お年を召したからといって地味な色で装う必要はありません。
むしろ、年齢を重ねるほど明るい色を装いに加えるべき、というのが私の在宅介護方針でした。
流行を取り入れ、だからといって年寄りなのに頑張ってる感ではなく、どの年代の人達とも浮くことなく、溶け合ってコミュケーションできる装いを心がけるようにしていました。
その中で、意識したのは赤色です。私も在宅介護を始めるまでは、取り入れたことのない色だったので、気持ちにハードルがありました。
交通安全のため
年老いた親御様を連れて一緒に歩く時は、手や腕を取りながら並んで歩くのではないでしょうか。
在宅介護を始める前は、私も黒系の洋服を好んで着用していました。
冬は黒ずくめですね。
実母も、私が介護する前は黒系の洋服が多かったです。
在宅介護が始まったある日のことです。
冬場の曇りがちな日々が続いていました。
私が車道側、母が歩道の縁石側を二人で並んで歩いていると、車が私のすぐ傍を追い抜いていきました。
道幅も狭かったのですが、徐行をしてもらいたいという願いはあります。
しかし、母も私も、黒づくめの装いでは遠くから視認性に難があったかもしれないと気づきました。
それからです。
年老いた親を連れて外出する際には、交通安全を意識しないといけないなと。
私一人なら避けられても、連れている母を守りながら避けるには工夫が必要です。
装いを変える
実母は、私と家内と一緒に介護のある暮らしの中で、本来の自分を取り戻していきました。
短期記憶やおぼつかないところもありますが、普通に暮らしていく中で私が傍についていれば、他人から見て認知症を患っているとはまず判らないぐらいに元気になっていきました。

一緒に暮らしを楽しむのが私の在宅介護で大事にしてきた考えです。
その中で、装いについても次の記事で触れています。

特に、実母のファッションに関しては、私も一緒にお店に出向き、選ぶ機会がありました。
この記事のトップにある画像は、私の母の後ろ姿です。
初夏だったでしょうか。一緒に選んだ赤いTシャツを着ていれば、遠くからでも視認性は確保できますね。
他にも、赤色の傘、赤色のセーター、赤色のベストなどなど。
ファッションに積極的に赤色を取り入れていきました。
≪ 介護中 ≫のネームカード
私は男性であり、母は女性です。
そのため、女性向けの着衣をリサーチするのに、男性単独では抵抗感があるのが一般的ではないでしょうか?
特に、女性用の下着を男性が買い求めるとなると違和感があります。
実際に、実母を連れて店舗に洋服を買い求めに行くのですが、それでも慣れません。
しかしながら、私たちが暮らしていた地区の行政では、ネームカードホルダー内に≪ 介護中 ≫の文字が大きくデザインされた首から下げられるネックストラップが用意されていました。
無料で配布されていました。
これがあると、男性である私が何のために女性の洋服売り場にいるのか、それが周囲に明示できるので、気持ち的にはすごく楽になりました。
ただでさ認知症を患った親御様の介護は大変で、ファッションにまで力が回らない現実もあるかと思います。
とはいえ、一緒に楽しく暮らすなかで、徐々に実母の認知症症状が表面化しなくなっていく現実において、その大変さは軽減されていく経験をしています。
認知症に対して、どのような対策が、どれほどの効果があるというは判りません。
ただ、一緒に楽しく暮らす在宅介護の活動方針が、認知症症状を表面化させない底上げに寄与しているのではないか、と分析しています。
認知症を患って、最もショックを受けているのは親御様ご本人です。認知症を患っていなくてもそうなりたくないと強く思うのは当然です。それだけ、認知症は避けたいけれども、いつわが身にふりかかるのか判らない恐れがあります。
ただ、仮に罹患したとしても、なんとかしている、またその改善に向けた底上げへの努力に嬉しさや楽しさがプラスしていくのがポイントだと思っています。
在宅介護は、親子で創る無形の財産というのはそういう意味です。