季節感を取り戻す@認知症

 日付が判らなくなるとともに、季節感も判らなくなるのが認知症です。

 だからといって、暑い、寒いが判らなくなるわけではないのです。

 夏の暑い季節に着込んでしまい、汗だくにもなります。

 このような症状に陥るのも、一人でいると、季節感を感じて何を着衣すればよいのか、その答えを出すのが難しい状態になります。

 そこでどうフォローすれば、季節感に沿って生活できるのか、私の実践経験をお伝えします。

もくじ

春!

さくら

いや、今は1月で冬真っただ中なんですが・・・

 かつて、認知症の確定診断のために詳細な検査を行った際、ドクターから季節を問われた時、母は自信をもって答えていました。

さくらの母

春!

 ただ、ここに挙げる関連記事のように、そう答えるには必ず理由があります。

 季節にマッチした装いを選ぶにも、認知症を患うと苦労されることも多いと思います。

 私の経験では、2つのアプローチを導入しました。

 一つは、装いを私や家内が選んで、その選んだ装いをデイサービスで褒められるという流れを作りました。

 もう一つは、季節感のある植物の力を借りる。

 そもそも、認知症のテストにあるような『いまの季節はなんですか?』という設問は、日常会話ではほとんど生じません。

 それを何の脈絡もなく、突然に、ドクターとは言え他人から質問されるというのは、認知症を患っていなくても、若干の驚きを持って構えてしまいます。

 そもそも、認知症を患っていない人に、『いまの季節はなんですか?』、なんて聞かないですよね。

 それだけ季節感というのは自然になじんだ感覚ですから、その自然を感じ取れるように在宅介護の暮らしをアレンジするのがポイントです。

今風の装い

 介護施設でご長寿の方々が体操しているシーンを映像等々でご覧になったことはあると思います。

 女性のほうが多く見受けられますが、彼女たちの装いに着目してみてください。

 今風ですか?

 それとも、いわゆるご老人ファッションでしょうか?

 言わずもがなかもしれませんが、いわゆるご老人ファッションをさせるご家庭が多いかと見受けられるシーンが報じられているはずです。

 なので、それをやめます。

 私の年齢やそれ以下程度の、いわゆる現役世代と同じ感じの装いをしてもらうようにします。

 長寿だからといって、年寄りくさいファッションをする必要性はどこにもありません。

 例えば、私の母は、80代後半からデイサービスを利用しましたが、次の写真にあるようなファッションで通ってもらいました。

 このようなファッションでデイサービスに行くと、他の利用者さんからは非常に多くのご注目をいただくようです。

デイのご利用者さん

あなた、このような服はどこで買うの?

さくらの母

これはね、お嫁ちゃんが買ってきて用意してくれるの(喜)。

 こうなると、母も明日の装いを楽しみにしてくれますし、私や、家内がコーディネイトして差し上げさえすれば、衣類選びに混乱する事態もなくなります。

 就寝時に枕元に、明日の装いを用意してさえあげれば、それを着衣するだけで良いという生活習慣が出来あがります。

 季節感を捉えて自分でコーデを考えなくても、自然と季節になじんだ装いで生活できるようになるわけです。

植物の変化を生活に取り入れる

 もうひとつは、室内に植物の変化を取り入れます。

 以前に、スイカを栽培した記事を投稿しました。

 これは、季節感がずれてしまっていますが、果実の成長を楽しみました。

 一方で、季節感を植物の変化で自然と目に出来るように植栽をしました。

 私の在宅介護では、モミジに活躍してもらうことにしました。

 大きく目立つように、オオモミジという種類の樹木を購入して、育てることにしました。

 室内でモミジを育てるというのは、あまりお勧めされた育て方ではありませんし、オオモミジを植木鉢で育てるというのも、ちょっといかがなものかと思いますが、目的は認知症ケアの一環として活躍してもらいました。

 ちょうど春先になって、モミジの葉っぱが芽吹いてきたころの様子がトップにあるアイキャッチの写真になります。

さくら

モミジの葉っぱって、こうやって芽吹いてくるんだね。

さくらの母

ほんとだ、可愛いね。

 季節感を正確に言葉にできる必要性は、実は、どこにもありません。

 家族と共に暮らす中で、季節感を楽しめること、それが重要です。

 私の在宅介護経験で、季節感を取り戻している様子をご紹介しました。

 認知症を患っていなくても、『いまの季節はなんですか?』と聞かれれば、ドキッとしたり、バカにしているのか?とさえ思うはずです。それに、もし判らなくなっても、困らないのです。装いさえ、季節感にマッチしてれば、それが原因で体調を崩すことがありませんから。

 主眼に置かなければいけないのは、季節感を暮らしの中でどう楽しんでいくか。それを在宅介護のある家庭内で出来ることが、家族に全員にとって幸せになります。

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