親御様がお世話になる施設は命と人権を大切にしてくれそうですか?

 公の介護サービスを初めて受けるようになって、しばらくすると施設との付き合い方というのがわかってきます。最初は良く判りません。よくわからないままに親御様を預かってもらうので、感謝と申し訳ないという気持ちが募ります。

 親自身も、認知症が進行してしまえば、短期記憶はまったく衰え、発語もままならくなりますから施設での出来事は覚えておけなくなりますし、覚えていても発語ができなかったり、発語ができたとしても、今度は周囲がその言葉を信用しません。

 もし親御様に何かあれば、「認知症だから」。

 この一言で、すべて片づけられるのが世の中だとしたら、みなさんはどう思われますか?

もくじ

介護士は救世主?

 親御様が認知症を患うと、人権はどうなるのか?

 初めて在宅介護を経験するタイミングでは、考えてもみないはずです。

 例えば、高齢者虐待と聞くと、暴言や、暴力を思い浮かべるはずです。

 でも、実際に介護施設のお世話になってみると、例えば、職員が赤ちゃん言葉で接してくる。

 もし、あなたが80代、90代になった時、他人からそのような接し方をされて嬉しいですか?

 人を馬鹿にするな、という話です。

 他にも、今はSNSが盛んで、介護施設の職員と思われるアカウントでご自身の頑張りをアピールされる方がいらっしゃいます。

 介護サービスの提供は、簡単な仕事ではないのはよく承知しているつもりです。

 しかし、利用者が便を漏らしただとか、勝手に立ち上がって徘徊が始まった等と、利用者の名前こそ公表されないものの、そのアカウントで、もし自分の親がネタにされていたとすれば、私には不愉快さしかありません。

 どれほどご自分の仕事が、大変で、やっていらっしゃることがご立派だと、他人である老人の振る舞いをネタにして、なぜ仕事のアピールしたいのでしょうか?

 利用者に対する不満をSNSに書き込まれる内容を見ますが、気持ちの良いものではありません。

介護サービスの限界

 介護サービスの限界についても知っておきましょう。

 もし、老後は介護施設があるから安心だと思っていらっしゃるならば、それは幻想です。

 介護サービスを提供する側には、その限界があります。

 職員一人に対して、利用者が複数人をお世話にしないといけない計算でサービスは成り立ちます。

 職員も、一人の利用者に意識が向けば、他の利用者に目は向きません。

 これ、当たり前なんです。

 職員だって、身体が一つしかないのです。

 利用者の側に立てば、介護サービスを提供を受けるあたっても、こちらの希望や期待が過剰になりがちです。

 つまり、介護サービスを受けるにあたっては、最初から利用者の期待と事業者の限界にギャップがあると思っていなければいけません。

 そうでなければ、利用者の死亡事故が起きた時にどうしますか?

 訴えますか?

 訴えても構いませんが、そのときは介護事業そのものがハイリスクになりますから、いまある世の中の介護サービスは終焉を迎えるはずです。

 一方で、預ける側からみれば、死亡事故、怪我といった危険がつきまとうのが介護サービスだと認識しておかなければいけません。

利用者による介護サービス利用思想を固めるのが第一

 介護施設も変えたりしながら、母の在宅介護を徐々に上手に回せるようになってきてハッキリと判るのは、自分がどのような在宅介護を実現したいのか。

 その在宅介護を実現する上で、誰から、どのような協力を受けるべきなのか。

 その明確化が極めて重要だと判ります。

 具体的には、介護サービスを利用する側の期待と、介護サービス事業者が出来る限界の境界を明確にします。

 利用する側の期待を超えて、介護サービス事業が出来る限界を突破すれば不都合さや、事故が生じます。

 例えば、デイサービスの朝のお迎え時刻を遅くともこの時間までにして欲しい、といった利用者側の希望があったとします。

 しかし、都内の朝を想像してみてください。

 幹線道路を超えて送迎を手配してくれる事業者にそれを期待しすぎれば、事故が起きかねません。

 ところが、事業所の経営を優先するあまりに無茶を承知でそれを引き受けているとすれば、どうなるか。

 交通事故に限りませんが、アクシデントは突然に起こるのではなく、何かしらそれを引き起こす小さな原因がエントロピーの増大となり、蓄積されて生じます。

 職員の高齢者虐待にしてもそうです。

 出会って初日の施設利用者に、職員は暴力、暴言はしません。

 人間関係のネガティブな絡まり合いが、徐々に蓄積されていって、ある日、事件が起こります。

 したがって、利用者側の期待と、事業者側の限界をキッチリと線引きする。

 これを見極めないと、お互いに不幸になります。

 介護サービスを提供する事業者は、つい良かれと思って、仕事を頑張りがちなところがあります。逆に、利用する側は、それを喜びますが、時間が経過するほど、その関係は破綻すると思っておいた方が無難です。

 過剰なサービスの提供は、職員の疲弊を招きますし、利用者は甘えます。ですから、期待と限界の線引きは大事ですし、利用者側からも必要以上のサービス提供は遠慮したほうが良いです。

 例えば、衆議院なり、参議院なり、選挙がありますね。投票行為のすべてを施設にお願いするというのも本来、問題視されて良いはずですし、ご家族がいらっしゃるなら、ご家族にお任せすべき事柄です。

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