書籍紹介
書籍名:現代人のための瞑想法
著 者:アルボムッレ・スマナサーラ
出版社:サンガ新書
読ませてもらって
瞑想は、本来、宗教が何かを問いません。
ですから、信仰を問いません。
なぜなら、信仰など、その程度のレベルは全く関係のないプラクティスだからです。
私は、そのように学んでいます。
瞑想とありますが、プラクティスという言葉の方がまさにピッタリな実践内容なのです。
しかし、キチンと徹底的に学び、真剣にやる必要があります。
それも、お釈迦様が仰っていた2600年前の当時の通りにそのままに学べるとしたら、それ以上の学びは無いと考えても良いはずでは!?
また、学ぶといってもそれは決して難解なものではありません。
誰でも、理解ができ、実践できる。
そして、得られる効果は、成功と悟りです。
これを知ってしまうと、どこそこの有名経営者の良いお話も一経験談としては参考になりますが、ハッキリ申し上げて色褪せます。
とはいえ、この著書は、岳母への介護で、その生活において瞑想実践を取り入れてもらうにあたって最初に一緒に読んだ本です。
岳母は80代後半でしたが、抵抗感なく読み進めてくれるほど、平易に教えてくださっている内容です。
また、瞑想法と聞くと、何か嫌悪感を抱くのであれば、それは正しい意味と中身をまったく知らない、もしくは知ろうとしない無知な状態での判断です。
米国の西海岸でミレニアムを前後して広く浸透したマインドフルネスも、その源流はこの著書に記されている内容そのものであるヴィパッサナー・プラクティスです。
そこから、仏教の宗教色を消して、米国でマインドフルネスという名称にしたというお話を聞いています。
ミレニアムの頃と言えば、日本ではソニーをはじめとしたエレクトロニクス企業がまだ世界の席巻を保っていた頃です。
今では、世界のトップに君臨するまでに復活した米国アップル・コンピュータですが、ミレニアムの頃は経営が瀕死の状況で、創業者であるスティーブ・ジョブスは経営の立て直しのためにソニーとの協力関係を模索しに、ソニーに来社したのをご存じですか?
ミーティングを持ったようですが、ソニーはその提案を断ってます。
しかし、それが良かったのか、アップル・コンピュータは、その後に目覚ましい成長を遂げています。
そして、その後のアップル・コンピュータ、グーグルをはじめ、シリコンバレーのIT企業の盛隆は目を見張るものがあったのは、いまでもまだ現在進行形です。
その成長の歩みと共に、米国西海岸の企業で大いに受入れられ、社員教育に導入されていったのがマインドフルネスです。
スティーブ・ジョブスさんが生前、禅へ傾倒されているお話もうなずけます。
私も当時、最先端のエンジニアでミレニアムの頃にしばらく、米国西海岸の企業と一緒に仕事をしていました。
米国企業の非常に多くの社員たちが、呼吸に意識を合わせていく瞑想実践の様子を映像を通じて見たのですが、早晩、日本はテクノロジーで必ず負けると確信しました。
なぜなら、マインドフルネスの本質の一端である、≪ 今、この時 ≫への抜群の集中力、洞察力を社員一人ひとりが高めているのです。
一方で、当時の日本企業と言えば、ITバブルの後押しもあって、確かに破竹の勢いがあるように見えたかと思いますが、その裏では瓦解が始まっていました。
もちろん、マインドフルネスから仏教の宗教色を排除してしまった弊害もあります。
その一例は、軍での採用です。
本来のマインドフルネスは、人を殺すためのプラクティスではないはずです。
このことは、マインドフルネスを実践する上で、とても重要な反面教師ではないか、というのが私の考えです。
例えば、認知症に罹患したくないために、マインドフルネスを生活に取り入れる。
入り口として、それは悪いことではないというのが、私の認識です。(間違っていれば、ご指摘ください。)
ただ、目的がそれに留まると上手くいきません。
認知症に限らず、病を避ける結果にもつながる心が鍛えられるのですが、マインドフルネスの源流であるヴィパッサナー・プラクティスは、苦の脱却であり、そのために生死を超越するのが目的。
軍の目的や、病気を避ける目的も、その根本は自分が生きたい、死にたくないという欲と怒りの感情により生じている目的と理解する必要があり、したがって、その程度が目的では瞑想は上手くいかない、と学んでいます。
したがって、副産物として、病を避けられるかもしれないという入り口から瞑想実践を始めていくのは悪くありませんが、まずは瞑想の目的を本書から学ばれるのが良いように思う、というのが私の見解です。
著者のスマナサーラ長老は、初心者の方をはじめ、瞑想実践のご指導をしてくださっています。
また、Youtubeでもご指導内容を公開してくださっています。
本書と共に、瞑想を学べる環境は十二分に整っている、と私は思います。
なお、私のこれまでの瞑想に関する学びを通じての言葉をつないでここに記事しています。まだまだ、学びの途中ですので間違った認識による記述があれば、ご指摘を頂戴できれば幸いです。